サブリース解約の実体験|違約金を払っても手放した4つの理由

家賃の半年分の違約金を払って、サブリースを解約しました。問題はそのあとです。払った違約金は何年で取り返せるのか。そして空室保証を外して、実際に何が起きたのか。数字と結果を公開します。

40歳のときに買った中古ワンルーム2戸のうち、1戸をサブリース契約(一括借り上げ)で運用していました。空室でも収入が途切れない代わりに、私に振り込まれるのは元の家賃の90%。残りの10%が会社の取り分です。

その契約を解約するまでの経緯 ── 違約金を求められたやり取りや、契約書を読み直して分かったこと ── はサブリースは解約できる?家賃半年分の違約金を払った実録にまとめました。この記事は、その続きにあたります。解約を終えたあとの数字と、保証を外して起きたことを検証します。

なお、この記事は私個人の体験と考えに基づくものです。契約内容は会社や物件ごとに異なりますので、判断の材料のひとつとして読んでいただければと思います。

1. 結論:回収は約7年。そして空室は出ていません

取り返すには7年かかる計算ですが、解約から今日まで空室は発生していません。

先に、この記事で分かったことをまとめます。

  • 解約にかかった違約金は家賃の半年分
  • オーナーの手取りは、サブリースの元の家賃の90%から、集金代行では家賃から定額の管理費を引いた額へ。差はおよそ家賃の5%分
  • この差だけで違約金を取り返すなら、約10年
  • 更新料の扱いの差まで含めると、約7年
  • そして解約後、この物件に空室は発生していません

お金の順番はこうです。まず解約金(家賃の半年分)を払い、そのあとで毎月の手取りの差と更新料の配分によって、少しずつ取り返していく。解約した時点で確定しているのは支出だけで、回収はこれからということになります。

だからこそ、7年という数字だけを見て決めたわけではありません。その先に続く10年・20年で、何を減らせるのか。そこを軸に判断しました。理由は第3章にまとめています。

2. 差額だけなら10年、更新料も入れると7年

取り返す年数は、見る項目を1つ増やすだけで3年変わりました。

ここが今回いちばん伝えたい部分です。家賃を「1ヶ月分」を単位にして計算します。

① オーナーの手取りの差

  • サブリース:元の家賃の90%が振り込まれる(残り10%が会社の取り分)
  • 集金代行:家賃の全額が入り、そこから管理費を払う。私の場合はこれが定額で、家賃の5%相当より月に数百円安い水準でした

差はおよそ家賃の5%分。1年では家賃0.6ヶ月分になります。違約金は家賃6ヶ月分ですから、これだけで取り返すなら 6 ÷ 0.6 = 約10年

なお、集金代行の管理費が定額だったことには、家賃が上がっても管理費が連動して増えないという利点もありました。毎月の明細でも、管理費は家賃に対する比率ではなく決まった金額で計上されています。将来この物件の家賃を上げられたとしても、管理費はそのままです。

一応補足すると、定額だから未来永劫この金額、というわけではないとも思っています。物価や人件費が上がれば、管理費そのものが改定される可能性は残ります。移管先は管理戸数の多い会社なので単価は上がりにくいのでは、というのが私の見立てですが、これは根拠のある話ではありません。家賃に連動して自動的に増えることはない、という点だけが確かなことです。

② 更新料と募集費用の差

ここに気づいたのは、2件目の会社に相談したときでした。同じ「集金代行」でも、会社によって条件がまったく違ったのです。

  • 1件目の会社の集金代行:2年に1回の更新料は全額が会社のもの。さらに募集の際には広告費(AD)も発生するという説明でした
  • 2件目の会社の集金代行:更新料のうち家賃0.5ヶ月分がオーナーに入る。募集では礼金を入居者から受け取る形なので、長期化しないかぎりオーナーの持ち出しはないとのことでした

サブリースの間は、更新料は当然のように会社のものでした。そのため私は「集金代行に変えれば毎月の手取りが増える」ことばかり見ていて、更新料や募集費用まで比べるという発想がありませんでした。

念のため書いておくと、1件目の会社が不当だったという話ではありません。同じサービス名でも、条件は会社ごとに違うというだけのことです。ただ、比較する相手がいなければ、私はこの差に気づかないまま1件目の集金代行に移っていたはずです。

以下の計算では、実際に移った2件目の条件で見ていきます。2年に0.5ヶ月分ということは、1年あたり0.25ヶ月分です。

項目1年あたりの差(家賃1ヶ月分=1として)
手取りの差(実質10%→約5%の定額)0.60ヶ月分
更新料の配分(2年に0.5ヶ月分)0.25ヶ月分
合計0.85ヶ月分

6 ÷ 0.85 = 約7年。手取りの差だけを見ていたときより、3年早く回収できる計算になりました。

この計算の前提と、弱いところ

  • 家賃が変わらないものとした単純計算です
  • 税金の影響は含めていません
  • 更新料は「2年ごとに入居者が更新する」前提で置いています。途中退去があればこのとおりにはなりません
  • そして最大の弱点は、空室のコストが入っていないことです

4つ目は正直に書いておきます。サブリースの10%は「空室でも収入が入る」ことへの対価でもあるので、それを外した以上、空室が出れば計算は崩れます。

仮に4年に1回の退去で、空室2週間分と募集費用を合わせて家賃1.5ヶ月分の負担が出るとすると、1年あたり0.375ヶ月分。差の0.85から引くと0.475となり、回収は約13年まで延びます。

私の場合は、後で書くとおり解約後に空室が出ておらず、募集費用の持ち出しも今のところ発生していません。ただ、「7年」は空室が出ない前提の数字であることは、隠さずに書いておきたいと思います。

前提を置かないと年数は出せませんが、前提が変われば結論も変わります。そのうえで私が言いたいのは、比較するときに毎月の手取りだけを見ていると、私の条件では3年分のずれが出たということです。更新料の配分は契約書の後ろのほうに小さく書かれていることが多いので、契約前にここまで見ておく価値は十分にあると思います。

3. 元が取れるのは7年後。それでも解約を選んだ4つの理由

7年かけて取り返せるなら、将来のリスクを先に消しておくほうが長期では有利だと考えました。

不動産投資は数十年単位で持つ前提の投資です。だとすれば、7年で回収できる支出は「高い授業料」ではなく「先に払っておく保険料」に近い、というのが私の受け止め方でした。理由は4つあります。

① 売却するときの自由度が上がる

これは感覚の話ではなく、法律の構造がそうなっています。民法第605条の2第1項では、賃借人が対抗要件を備えている場合、その不動産が譲渡されたときは賃貸人たる地位が譲受人に移転すると定められています。建物の賃貸借は、引渡しを受けていれば対抗できます(借地借家法第31条)。

つまり、サブリース契約が付いたまま物件を売れば、買主はその契約を引き継ぐことになります。買主から見れば、賃料も解約の条件も固定された状態で買うわけです。私自身はまだ売却していないので実感として確かめたわけではありませんが、売りたいときに売れる状態にしておくこと自体が、長期保有では価値になると考えました。

② 賃料が下がる方向のリスクを外せる

借地借家法第32条には、経済事情の変動などによって借賃が不相当になったときに、当事者が将来に向かって借賃の増減を請求できる旨が定められています。サブリースの保証賃料も、未来永劫その額とは限りません。

そして、これは法律の一般論にとどまりません。私の契約書にも、賃料を改定できる条項がありました。公租公課や諸物価の変動、近隣の賃料相場と比較して著しく不相当になったときは、契約期間中であっても協議のうえ賃料を改定できるという趣旨の内容です。

保証されているのは「空室でも入る」ことであって、「今の金額がずっと続く」ことではない。契約書を読み直して、この理解がはっきりしました。

③ 早く動くほど、累積の差が小さくて済む

差額は毎月積み上がります。10年後に同じ判断をするなら、それまでの差額を余分に払ったうえで、同じ違約金を払うことになります。やると決めたなら早いほうが痛みは小さい、と考えました。

④ ローンの繰上返済・借換のときに不利になりうる

私は今、繰上返済でキャッシュフローの改善を進めています。将来の借換も選択肢に入れたとき、契約の形はシンプルなほうがいい。ただしこれは、実際に借換を申し込んで断られたという話ではなく、私の想定です。調べた範囲では不利に働くという情報が多かった、という程度に受け取ってください。

4. 保証がなくても埋まるのか ── もう1戸で起きたこと

空室保証を外した結果、私の場合は「使わなかった保険料」になりました。

判断の材料になったのが、もう1戸のほうで実際に起きたことでした。こちらはもともと集金代行、つまり空室保証のない状態で運用しています。

その物件で、契約から1年後に退去がありました。保証がない以上、空室の期間はそのまま収入ゼロです。ところが募集をかけるとすぐに次の入居者が決まり、実際に空室だったのはハウスクリーニングの約2週間だけでした。しかも次の契約では、近隣の相場に合わせて家賃を3,000円上げた状態で決まっています。募集にあたっても、礼金1ヶ月分を入居者からいただく形なので、私の持ち出しはありませんでした(1ヶ月で決まらない場合は、今後広告費が発生する可能性はあります)。

正直に書きますが、これはたまたまかもしれません。私は物件を2戸しか持っておらず、退去の実例も1件だけで、サンプルとしてはあまりに少ない数字です。それでも、条件の良い物件は空室の期間が短いということ自体は、自分の物件で起きた事実として言えると思っています。

そしてサブリースのままであれば、この3,000円の値上げ分はオーナー側には基本的に返ってきません。保証を外したことで、下振れのリスクを引き受ける代わりに、上振れも自分のものになったわけです。

解約した1件目のほうも、契約当時から今日まで空室は発生していません。空室保証を外すのは怖かったのですが、結果として保証のために毎月払っていた差額は、私のケースでは「使わなかった保険料」になりました。

5. そもそも、保証が必要な物件かどうか

サブリースを外せるかどうかは、解約の交渉より前に、物件を買う段階で半分決まっていると感じています。

空室保証がないと借り手が決まらない物件は、保証を外した瞬間に収支が崩れます。逆に、保証がなくても埋まる物件なら、保証のために毎月払うコストは「使わない保険料」になります。

私がサブリースを選んだのは、物件に不安があったからではなく、初めての不動産投資で自分自身に自信がなかったからでした。空室対応をやったことがなく、何が起きるか分からない。その不安に対して、毎月家賃の10%を払っていたというのが実際のところです。

だとすれば、これから物件を選ぶ方に見ていただきたいのは、保証の条件よりも先に、「この物件は、保証がなくても借り手が決まるか」という一点だと思います。そこに自信を持てない物件は、保証を付けても収支の弱さが消えるわけではなく、毎月のコストとして先送りされるだけです。

もちろん、私の結果は都心のワンルームで立地が良かったからでもあります。空室が続きやすいエリアであれば、まったく違う判断になるはずです。

6. 反省:先に「肯定と否定の両方」を読んでおけばよかった

片方の意見だけを読んで始めると、判断が偏ります。

ここまで数字で判断した話を書いてきましたが、そもそもの反省もあります。私は書籍やセミナーで十分に知識を入れる前に、試しながら進めてしまったところがありました。

もしこれから始めるなら、複数のセミナーや書籍で、不動産投資に肯定的な意見と否定的な意見の両方を先に読んでおくことをおすすめします。片方だけを読むと、どうしても判断が偏ります。サブリースの是非にしても、「空室保証は安心」という説明と「保証は割高」という批判の両方を先に知っていれば、契約前にもっと踏み込んで確認できたはずです。

ただ、ひとつだけ自分を評価したい点があります。失敗はしても、致命的な失敗はしないようにしていたことです。3戸目を勧められたときも、負債比率とキャッシュフローの基準に合わないと判断して止めました(このあたりは1本目の記事に書いています)。取り返せる範囲の失敗にとどめておけば、そこから学んで次に活かせます。今回の解約も、その範囲に収まったと思っています。

7. まとめ

サブリースをやめる判断は、毎月の差額だけでは決まりませんでした。

今回の検証を整理します。

  • 違約金は家賃の半年分。手取りの差(元の家賃の90%→定額管理費)だけで取り返すなら約10年
  • 更新料の配分まで含めると約7年。毎月の手取りだけを見ていると、私の条件では3年分のずれが出ました
  • 同じ「集金代行」でも会社によって条件が違います。1件目の会社は更新料が全額会社のもので募集の広告費も発生する条件でしたが、移った2件目は更新料の0.5ヶ月分がオーナーに入り、募集は礼金でまかなう形でした
  • ただしこれは空室が出ない前提の数字です。4年に1回の退去を見込むと、回収は約13年まで延びる計算になります
  • それでも解約したのは、売却の自由度・賃料減額のリスク・早く動くほど累積の差が小さいこと・繰上返済や借換のしやすさという、長期で効いてくる4点を優先したからです
  • 解約後、この物件に空室は発生していません。もう1戸では退去がありましたが、空室は実質2週間、家賃は相場の範囲で3,000円上がりました
  • 保証がないと埋まらない物件は、買う段階で判断が半分決まっています。保証の条件より先に、物件そのものを見てください

40歳で始めた不動産投資は、順調とは言えません。金利と管理費の上昇でこの2〜3年は持ち出しが続いています。それでも、判断を先送りせず、取り返せる範囲で修正していくことはできます。今回の解約は、その修正のひとつでした。

解約に至る経緯、違約金を求められたときのやり取り、移管の手続きについてはサブリースは解約できる?家賃半年分の違約金を払った実録に、不動産投資を始めた経緯は40歳の不安から始めた不動産投資。中古ワンルーム2戸を選んだ理由に書いています。

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。


※本記事は私個人の体験と考えに基づくもので、特定の契約や投資商品を推奨するものではありません。契約条件は会社・物件ごとに異なります。法律・税務の個別の判断については、専門家や所轄の窓口にご確認ください。記事中の制度・条文は2026年8月22日時点の内容です。

参考にした一次情報

  • 借地借家法 第31条・第32条(e-Gov法令検索)
  • 民法 第605条の2(e-Gov法令検索)

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