40歳の不安から始めた不動産投資。中古ワンルーム2戸を選んだ理由

予定外の支出の記事家計簿アプリの記事で、「不動産投資については別の記事で書きます」と何度か予告してきました。ようやくその話です。

私は40歳になった頃、中古・都心のワンルームマンション2戸で不動産投資を始めました。今回はその入口——なぜ始めたのか、なぜこの物件だったのか、どこまでやってどこで止めたのか——を書きます。そして、この始まりにはあとから気づく落とし穴もありました。サブリース契約の解約という失敗と、そこから学んだことは、次の記事で詳しく書きます。

⚠️ 本記事は私個人の体験と考え方の共有です。特定の投資や商品を推奨するものではありません。不動産投資は大きな借入を伴います。投資判断はご自身の責任でお願いします。

1. 40歳の「このままでいいのか」——3つの行動のひとつでした

株式投資・引越し・不動産投資。40歳の節目の不安をきっかけに、同じ時期にまとめて動きました。

私には、10年単位の節目になると「このままでいいのか」という漠然とした不安が湧いて、大きな決断をする癖があるようです。30歳のときは、「転職するならこの節目までに」と考えて、いまの会社への転職を決めました。そして40歳の節目で実行したのが、株式投資一人暮らしへの引越し、そして不動産投資の3つでした。

株式投資の記事で書いた「貯金はしている。でも貯金だけで本当にいいのか」という焦り。不動産投資も、根っこは同じところから始まっています。

2. 動機:貯金はあった。それでも「収入の柱」を増やしたかった

老後2,000万円と言われる額の半分ほどは貯めていました。それでも、引越しで支出が増える中、給与と貯金だけに頼ることが不安でした。

兄弟と家賃を折半していた約20年のおかげで、意識しなくても貯金が積み上がる家計でした。金額で言えば、俗に「老後2,000万円問題」と言われる額(出典:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」・金融庁、2026年8月17日確認)の半分ほど。数字だけ見れば、悪くないペースです。

それでも不安が残ったのには、理由が3つありました。

  • 貯金のペースが鈍ることが見えていた——一人暮らしへの引越しで住居費をはじめ支出が増えるため、これまでと同じペースでは貯まらなくなる
  • 収入が給与1本だった——貯金は「守り」にはなりますが、収入の柱は増えません。支出が増えるなら、収入の側も増やしたいと考えました
  • 何が正解か分からなかった——だから、許容できる範囲でいろいろ試して、自分に合うものを残す方針にしました。株式投資も不動産投資も、この「試す」の一環です

正直に書いておくと、試したものの中にはうまくいかなかったものもあります。実はFXは、20代の頃に一度手痛い失敗をして、長く離れていました。それでも「いろいろ試す」と決めたこの機会に、少額で再挑戦してみたのです。結果はやはり失敗で、いまは「FXはやらない」と決めています(この経緯は、いずれ別の記事にまとめる予定です)。うまくいったものだけを並べるのはフェアではないので、先にお伝えしておきます。

3. 選んだのは中古・都心・ワンルーム——セミナーと相談会から始めました

自分で調べたうえで、複数の会社のセミナーと相談会へ。ばらばらの説明を聞き比べるうちに、「新築より中古」「都心」という自分の基準が固まりました。

最初の一歩は、自分でいくつか調べたうえで、不動産投資会社のセミナーや相談会に参加することでした。最初から1社に絞らず複数の会社を回ったのですが、説明の内容は実にばらばらです。新築を勧める会社もあれば、アパート一棟の会社も、東京以外の都市の物件を推す会社もある。それらを聞き比べるうちに、「新築より中古」「都心(特に東京23区)」がリスクを抑えられるという考えが、自分の中で固まっていきました。あとは、その条件の物件を紹介している会社に絞って、検討を進めていった形です。

ひとつ注意喚起をしておくと、セミナーや相談会に参加すると、営業の電話やメールは実際によくきます。私は、購入を検討している間は物件を紹介してもらう機会として付き合い、購入後はGmailのブロック機能とスマホの着信拒否で、不要な営業を整理しました。参加するなら、その場で契約を決めないこと。そして連絡は、あとから自分で管理できる窓口に絞っておくことをおすすめします。

もうひとつ、始める前に決めていたことがあります。「仮に失敗しても、自己破産はしない範囲でやる」という線引きです。最悪のケースを先に見積もって、そこが許容できるなら、あとは実行するだけ——数字を扱う仕事で身についた考え方です。

線引きの中身は単純で、「物件をいま売ったらいくらか」と「ローンの残り」を突き合わせて、最悪売却しても家計が破綻しない範囲かを見積もることです。これは始めるときだけの話ではなく、いまも年1回、イエウールなどの査定サイトで物件のおおよその価格を調べ、ローン残高と相殺してマイナスになっていないか——つまり自分の純資産がどうなっているか——を確認するようにしています。

そのうえで、物件タイプはワンルームを選びました。「ワンルーム投資はやめておけ」という意見が多いことは知っていますし、利回り(投資額に対する年間家賃収入の割合)がアパート一棟やファミリータイプより低いのも事実です。それでもワンルームにしたのは、それぞれのメリット・デメリットを比較した結果です。当時の私の整理を載せておきます。

選択肢主なメリット主なデメリット
アパート一棟利回りが高め。戸数を一度に持てる都心の立地が難しい。1棟に資金が集中し、立地の分散がしにくい。木造中心で建物の強度が不利。家賃帯が低いと家賃滞納などの入居者トラブルのリスクが上がりやすく、かといって家賃を上げれば入居者の候補が減り、空室リスクが上がる
ファミリータイプ1戸あたりの家賃が高く、一度入居すると長く住んでもらいやすい1戸あたりの価格が高く、複数戸に分けにくい。空室が出ると、次の入居まで期間が長引く可能性がある
中古ワンルーム(私の選択)都心に持てる。1戸の価格が手頃で、複数戸に分けて立地を分散できる利回りは低め。中古のため、築年数に応じた修繕のリスクがある

私が優先したのは利回りの高さではなく、都心の立地と、複数戸に分けられることでした。1つの物件に全資金を集中させるより、戸数を分けてリスクを散らしたい。利回りの低さは、その優先順位を通すためのコストとして受け入れた——そういう判断です。

ひとくちに不動産投資と言っても、物件タイプごとにリスクとリターンの形はさまざまで、上の表も私の視点での整理にすぎません。どれが正解というものではないので、検討される方は、他の方の比較や考え方も調べたうえで、ご自身の優先順位で判断してみてください。

4. 1ヶ月後に2戸目。でも3戸目はやめた——「買える」と「買っていい」は違う

2戸目までは大丈夫と判断して即断。3戸目は、買えたとしても負債比率とキャッシュフローの基準に照らしてやめました。

複数の会社からセミナーや物件紹介を受けながら、自分で良いと思った物件を購入していきました。2戸目までは買えると判断していたので、1戸目の契約の約1ヶ月後に、別の会社で2戸目を契約しています。ちなみにこの2件目の会社は、こちらが求めていない営業をしてこない、信頼できると感じた会社でした。この出会いは、のちのサブリース解約のときにも効いてくることになります。

一方で、3戸目は買いませんでした。買うこと自体はできたのです。ただ、試算すると負債比率が上がり、月々のキャッシュフローがマイナスになる。リスクが高いと判断して、2戸で止めました。

用語の補足

負債比率:資産に対する借入(ローン残高)の割合。高いほど、空室や家賃下落のときに耐える余力が小さくなります

キャッシュフロー:家賃収入からローン返済・管理費などを引いた、月々の手残りのお金

後日談があります。その後も3戸目の紹介はありました。ただ、その物件は新築で、場所は大阪。「中古・都心・複数戸に分散」という自分の基準から二重に外れていたので、お断りしました。基準を先に決めておくと、営業トークを目の前にしても迷わずに済む——これは株式投資の銘柄選びの基準とまったく同じ経験でした。

5. 正直な現在地:まだ「収入の柱」にはなっていません

契約時点で収支はトントン、いまは金利と管理費の上昇でマイナスです。ただしこれは、1戸を早期に完済して黒字に転換するための、意図した持ち出しでもあります。

ここまで読むと順調そうに見えるかもしれないので、現在地を正直に書いておきます。第2章で「収入の柱を増やしたかった」と書きましたが、現時点でこの2戸は、収入の柱にはなっていません。契約時点で月々の収支はトントン。その後の金利上昇と管理費の値上がりで、この2〜3年の収支はマイナスです。さらに、いまはローンの繰上返済を優先しているので、月々の持ち出しはかなりあります。

ただ、これは想定外の赤字を垂れ流している状態とは違います。あと1〜2年繰上返済を続けて1戸を完済し、月々の収支をプラスに転換させる——そのための意図的な持ち出しです。不動産投資では「繰上返済をしなくても、老後にはローンが終わって年金代わりになる」という説明がよくされますが、私はその考えを取りません。理由は2つあります。ひとつは、金利が上がっている局面では、負債を減らすことが一番確実なリスク対策だと考えているから。もうひとつは、ローンが終わる数十年後には、建物の経年で家賃も物件の価格も下がっている可能性が高く、それまでに支払う金利の総額まで含めると、本当にプラスで終われるのか正直わからないと判断しているからです。なぜ繰上返済を優先するのかの詳しい話は、金利の話とあわせて、別の記事で書きます。

6. 契約はサブリース前提だった——「やりながら試す」ことにしました

1戸目の会社はサブリースが前提。「あとから変更もできる」という説明を受けて、まず始めることを優先しました。この判断がどうなったかは、次回書きます。

最後に、次の記事につながる話をひとつ。1戸目の会社の契約は、サブリースが前提でした。

サブリースとは:不動産会社が部屋をまとめて借り上げ、空室でも一定の賃料をオーナーに保証する仕組みです。空室リスクを会社側が持つかわりに、オーナーが受け取る賃料は下がります。

契約の段階で「あとから集金代行(賃料の回収だけを委託する方式)への変更もできます」という説明があり、「それなら、まずはやりながら試そう」と、そのまま始めました。第2章で書いた方針どおりの判断です。

ただ、この契約には、あとから気づく落とし穴がありました。契約書に書かれた条件のとおりには、変更できなかったのです。予定外の支出の記事で「今年一番大きかった支出」と書いた解約金の正体がこれです。解約を決めてから実際に移行するまでの経緯と、そこから学んだサブリースとの付き合い方は、次の記事で詳しく書きます。

7. まとめ:40歳から始めた私の判断材料

動機・物件・撤退基準。私の判断をそのまま並べます。始めるかどうかを考える材料になれば幸いです。

この記事の要点をまとめます。

  • きっかけは40歳の節目の不安。引越しで支出が増える中、給与と貯金だけに頼らず収入の柱を増やしたかった
  • 何が正解か分からないから、許容できる範囲でいろいろ試す。うまくいかなかったもの(FX)はやめる
  • 物件は比較の結果、中古・都心・ワンルーム2戸。利回りの低さは、立地と分散を優先するためのコストとして受け入れた
  • 始める前に「仮に失敗しても自己破産はしない範囲」という線を引いた。いまも年1回、査定額とローン残高を突き合わせて純資産を確認している
  • 「買える」と「買っていい」は違う。負債比率と月々のキャッシュフローを基準に、3戸目はやめた
  • 現時点の月々の収支は、正直に言えばマイナス。ただし、1戸の早期完済で黒字に転換するための意図した持ち出し

不動産投資は「儲かるか儲からないか」だけで語られがちですが、実際に始めてみて大事だと感じたのは、始める前に「どこまでならやるか」の線を引いておくことでした。基準があれば、買うときも、断るときも、迷いが減ります。

次回は、この始まりに潜んでいた落とし穴——サブリース契約を解約するまでの話です。

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。


出典

※本記事の内容は私個人の体験に基づくものであり、執筆時点(2026年8月17日)の情報です。

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