40歳でFX自動売買を試した結果|10万円で作った撤退基準

前回の記事で、20代でFXに300万円負けた話を書きました。通算▲3,005,373円。「資産の半分が枯渇したら諦める」という金額の上限しか決めていなかったので、資金が尽きるまで止まれなかったという失敗です。

その10年後、40歳の私は、もう一度だけFXを試しています。

今度は、上限に加えて期間も先に決めました。金額は10万円まで、期間は1年、確かめたいのは「自動売買が本当に機能するのか」。結果が出なければ撤退する——そう決めて始めました。

結果は▲159,989円。期間の基準は守れましたが、金額の基準は超えました。

この記事では、そのときの損益証明書と取引報告書の数字をそのまま公開します。自動売買の口座と、同じ時期に手動でも動かしていた口座、両方です。どちらもマイナスでしたが、負けが大きかったのは自分で判断した口座のほうでした。

「FXの自動売買って実際どうなの?」と気になっている方、そして含み損を抱えたままやめどきを見失っている方に、私の記録が判断材料になれば嬉しいです。

1. 40歳、10万円でもう一度だけ試した|今度は先に基準を決めた

同じ商品でも、先に区切りを決めておけば、失敗のコストはまったく違うものになります。

10年以上が過ぎて、40歳になりました。この頃の私は、初めて株を買い中古ワンルームで不動産投資を始め、投資信託も積み立て始めた時期です。

動き出した理由は、焦りでした。このままでは将来に備えられないという感覚が強くなっていて、しかも引っ越しの予定も控えていました。これまでどおりのペースで貯蓄を続けるのは難しくなると分かっていた。貯める力が落ちるなら、増やす方を試すしかない。そう考えていた時期です。

そのとき私は、こうも考えていました。

何が自分に向いているのか、まだ分かっていない。だったら、許容できる範囲でひととおり試しておきたい。

そのリストのなかに、FXが残っていました。過去に300万円失った商品を、もう一度候補に入れたこと自体、抵抗はありました。でも、当時とは違って投資の勉強を重ねてきた。損切りの意味も、ポジション管理も分かる。そして前回やらなかった自動売買という方法がある。それでどうなるのかを、確かめておきたかったのです。

そこで、始める前に基準を決めました。

  • 金額:10万円まで(1回目の「資産の半分」とは比べものにならない額)
  • 期間:1年
  • 検証内容:自動売買で本当に利益が出るのか
  • 結果が出なければ撤退する

金額の上限は1回目にもありました。新しく足したのは、期間を切ったことと、「何を確かめたいのか」を先に言葉にしたことです。「儲けたい」ではなく「自動売買が自分に機能するか確かめたい」。目的が検証であれば、結果がマイナスでも検証としては成立します。

使ったのは、ストラテジー型の自動売買です

検証に使ったのは、ちょいトレFX(FXプライム byGMO)。あらかじめ用意された売買ロジックを選び、売買のタイミングは任せるタイプです。自分の判断を挟まないことが、前回との最大の違いでした。通貨ペアはポンド/円と豪ドル/円で、取引数量は0.1万〜1万通貨の範囲で動かしています。

なお、ロット(取引数量)は自分で設定するものです。ここを自分で決めていたことが、あとで効いてきます。

そしてもう1つ。同じ時期に、外為オンラインの口座では手動でも取引しています。こちらは1回目と同じやり方です。結果として、機械に任せた口座と、自分で判断した口座を並行して走らせたことになりました。この対比が、あとで効いてきます。

2. 数字を全部出します|勝率54%でも、ロスカット1回で消えました

通常の決済だけなら通算はプラスでした。それをたった1回の強制ロスカットがひっくり返しています。

まず、損益証明書がある1年分の数字から書きます。この1年の確定損益は、2つの口座を合わせて▲94,103円。決めていた10万円が、ほぼそのまま消えた計算です。(証明書は暦年で区切られるため、検証期間の全体はこのあと第3章で示します

ちょいトレFX(自動売買):59回のうち32回勝って、それでもマイナス

取引報告書を全件集計しました。

回数損益
勝ち32回+134,778円
負け26回▲101,662円
通常決済の通算58回+33,116円
強制ロスカット1回▲52,529円
年間差引損益59回▲19,413円

ここが、この記事でいちばん驚いていただきたい部分です。

勝率は54%(32勝26敗)。通常の決済だけを足せば、通算は+33,116円のプラスでした。それが、たった1回の強制ロスカット▲52,529円で、年間マイナスに転落しています。

推移も並べておきます。

損益
最初の3か月▲64,461円(ロスカット含む)
続く6か月取引なし
再開後の3か月+45,048円

最初の3か月で6万円以上を失い、そこで手が止まりました。半年ほど空けて再開してからは、3か月で+45,048円と勝っています。それでも最初の穴は埋まりませんでした。

20代のときと、まったく同じ形です。大きく負ける。取り返そうとして、部分的には取り返せる。でも通算では届かない。違うのは、判断していたのが自分ではなく自動売買のプログラムだったことだけでした。

外為オンライン(手動):利小損大が数字にそのまま出た

一方、自分で判断していた口座はどうだったか。こちらのほうが、さらに分かりやすい数字でした。

金額
売買益17,900円
スワップ益100円
売買損90,800円
スワップ損1,890円
手数料0円
期間損益▲74,690円

売買益17,900円に対して、売買損90,800円。約5倍です。20代の失敗を「利小損大」と書きましたが、10年経った1年分の集計にも、同じ形がそのまま出ています。

そしてもう1つ。スワップ益はわずか100円、スワップ損は1,890円でした。私が20代で狙っていた「金利差でコツコツ」は、ここでは完全に逆回転しています。スワップは受け取る側になるとは限らず、ポジションの向き次第では払い続けることになる。頭では知っていたはずのことが、口座の数字として返ってきました。

機械に任せた口座より、自分で判断した口座のほうが負けました

2つの口座を並べるとこうなります。

やり方損益
ちょいトレFX自動売買に任せた▲19,413円
外為オンライン自分で判断した▲74,690円

差は4倍近くあります。勉強をして戻ってきたつもりでしたが、自分の手を動かした結果はこれでした。私にとっては、この比較がいちばんこたえた部分です。

念のため書き添えると、これは「自動売買のほうが優れている」という話ではありません。そもそも、どちらもマイナスです。取引の中身も金額も違うので、優劣の比較にもなりません。ただ、少なくとも「知識がついたから今度は自分でうまくやれる」という私の前提は、数字に否定されたということです。

3. 期間の基準は守れました。超えたのは金額のほうです

「いくらまで」は超えました。私を止めてくれたのは「いつまで」のほうです。

前の章で挙げた▲94,103円は、損益証明書が暦年で区切られているからの数字です。検証そのものは年をまたいでいるので、証明書は2通に分かれています。

またいだ分も合わせると、こうなります。

決めていた基準実際
期間1年をめどに判断する区切りをつけて撤退
金額10万円まで▲159,989円

守れたほう:1年をめどに判断する

期間の基準は守れました。1年をめどに判断する、という当時の決め方は最後まで変えていません。区切りが来たので、そこで手を止めました。

守れなかったほう:金額の枠は6万円超えました

ここは正直に書いておきたい部分です。私は「10万円まで」と決めていましたが、その枠を超えたことにすぐには気づいていません。口座が2つに分かれていて、それぞれの残高を見ているうちは「まだ10万円の枠内だ」と思えてしまうからです。合計して見直したのは、撤退を決めたあとでした。

20代のときと構造は同じです。金額の枠は、超えたかどうかが分かりにくい。含み損があれば実質いくら減ったのかも曖昧になりますし、口座が複数あればなおさらです。

前回の記事で「資産の半分まで」という上限は最悪の事態を防ぐ基準として機能したと書きました。今回もそこは同じです。10万円という枠があったからこそ、超えたといっても6万円で済んでいます。ただし枠は、止まるタイミングまでは教えてくれません。それが20代のときに5年もかかった理由でした。

それに対して、期間は誰が見ても超えたかどうかが分かります。カレンダーを見るだけでいい。だから今回、私を止めたのは期間の基準のほうでした。

20代と比べると

基準は、損を防いでくれるわけではありません。20代も40歳も、私は負けました。金額の枠も守れていません。それでも基準が決めてくれるものがあります。損の「大きさ」と「期間」です。

  • 金額の上限しかなかった20代:約5年・▲3,005,373円
  • 期間の基準も足した40歳:1年をめどに区切って・▲159,989円

同じ人間が、同じ商品で、同じように失敗しています。それでも損失は19分の1、かかった年数も比べものになりません。違うのは、いつやめるかを先に決めていたかどうかだけでした。

4. 高配当株3.5%・不動産3.0%|いま私が置いている数字の基準

続けているものには、どれも「この線を割ったら見直す」という一本の線があります。

いまの私は、手元の1円をどこに置くかを、数字の基準で決めています。

置き場基準となる利回り判断すること
高配当株税引後3.5%以上この水準を保てる銘柄か
不動産(完済後)調整後3.0%が下限株に資本を移すべきか
不動産ローンの繰上返済確定3.0%(金利分)投資に回すより、先に金利を減らすか

念のため書き添えると、繰上返済は投資ではありません。不動産投資で借りたローンの金利負担を減らす行為です。それでも同じ表に載せているのは、同じ1円の向け先として並ぶからです。3.0%の金利を減らすことは、リスクなしで3.0%を得るのとほぼ同じ意味になります。

不動産を株より0.5ポイント低い3.0%にしているのは、家賃収入のほうが振れ幅が小さく、株式と値動きが連動しにくい分を安定性として評価しているからです。数字の置き方はともかく、どこに置く場合も「この線を割ったら見直す」という一本の線があるという点が共通しています。

そして、FXにはこの線が引けませんでした。次の章がその理由です。

5. なぜFXには基準を置けなかったのか|3つの違いと、よくある反論

当てられないものには基準を置けず、耐えられない商品では基準があっても意味がありません。

ここで、当然の反論が出てくると思います。

高配当株だって減配する。結局は同じでは?

そのとおりです。減配は起こります。私も保有銘柄の減配を経験しています。ただ、決定的に違う点が3つありました。

違い① 減配は調べられる。為替は調べても当たらない

減配は、業績の悪化や方針の変更という調べられる理由で起こります。決算短信を読み、配当性向を見て、キャッシュフローを追えば、危ないかどうかをある程度は判断できます。判断できるということは、基準を置けるということです。「配当性向が○%を超えたら見直す」という条件が作れます。

一方、為替は自分がいくら調べても、他国の金利政策や地政学的な出来事で動きます。私は前職で毎日レートを見る仕事をしていましたが、それでも当てられませんでした。当てられないものに、撤退基準は置けません。

違い② 株は持ち続けられる。FXは強制決済される

これがいちばん大きな違いだと考えています。株は下がっても、売らなければ保有し続けられます。配当も、減配されなければ受け取り続けられます。耐えるという選択肢が残っているわけです。

ところが、レバレッジをかけたFXには、それがありません。証拠金が足りなくなれば、自分の意思とは無関係に強制決済されます。「持ち続ける」という選択肢そのものが消える。

20代で失った300万円も、自動売買に任せていた今回の▲52,529円も、同じことが起きています。耐えられなかったのではなく、耐えることを許されなかったわけです。

違い②への反論|「レバレッジを下げればいいのでは」

ここまで読んで、こう思われた方がいるはずです。

証拠金を厚くしてレバレッジを1〜2倍まで落とせば、ロスカットはまず起きない。それはレバレッジのかけ方の問題であって、FXそのものの問題ではないのでは。

そのとおりです。理屈のうえでは正しく、私もここで「FXが悪い」と言い返すつもりはありません。そのうえで、2つ書いておきたいことがあります。

私自身、それができていませんでした

今回ロスカットされたのは、1万通貨のポジションでした。当時のレートで150万円を超える金額です。つまり、「10万円までしか使わない」と決めていた人間が、150万円分の為替を動かしていたことになります。

金額の枠は守っているつもりでした。でも枠が縛るのは口座に入れるお金であって、動かすポジションの大きさではありません。

そして、ここは自動売買のせいにはできません。ロットの設定は、私が自分で決められました。取引数量をもっと小さく置いておけば、証拠金に対する負担は下がり、あのロスカットは避けられた可能性があります。にもかかわらず、私はそこを詰めていませんでした。

「自動売買に任せる」というのは、売買のタイミングを任せることであって、どれだけの大きさで張るかまで任せることではありません。いま書けば当たり前のことですが、当時の私はそこを区別できていませんでした。ロジックは選んだのに、そのロジックにいくら賭けるかを選んでいなかったわけです。

レバレッジを落としたFXは、何になるのか

値動きで大きく増えることは期待できなくなり、残るのはスワップポイントだけ。それは実質的に、外貨預金に近いものになります。そして前の節で書いたとおり、そのスワップも受け取る側にいられるとは限りません。

そこまで落とすなら、私は同じお金を高配当株に置きます。理由は先ほどと同じで、そちらには「この線を割ったら見直す」という基準を置けるからです。為替には置けません。

つまりこの反論は、私にとっては結論を否定するものではなく、補強するものでした。安全に使おうとするほどFXの旨味は薄れていき、薄れたあとに残るものは、私がすでに持っている選択肢に及ばない。だから「やらない」に落ち着いています。

違い③ 値上がり益は「2回当てる」必要がある

これは、撤退したあとに気づいたことです。

値上がり益を狙う取引は、当てなければならない場面が2回あります。安いところで買い、高いところで売る。この両方が揃って初めて利益になる。片方だけ当てても意味がありません。買うタイミングが完璧でも、売る場面で判断を誤れば利益は消えます。私が59回の取引で勝ち越しながらマイナスで終わったのも、結局はここでした。

一方、配当や家賃を受け取る投資で判断が必要なのは、基本的に「買う」の1回だけです。買ったあとは、持っているだけで入ってきます。売り時を当てる必要がない。

もちろん、判断が2回だから難易度がちょうど2倍になる、といった単純な話ではありません。1回あたりの利益と損失の大きさで結果は変わります。それでも、当てなければならない回数が多い取引ほど、自分の判断の粗さがそのまま結果に出る私にとっては、この構造がいちばん腑に落ちる説明でした。

スワップ狙いは、本来こちら側の考え方でした

私が20代で狙っていたスワップポイントも、その意味では「1回だけ当てればいい」側の発想です。持っているだけで金利差が入ってくる。売り時を当てる必要がない。

ただ、ここは正確に書いておきます。20代の▲3,005,373円は、スワップ狙いだけの結果ではありません。スワップを受け取りながら、同時に値動きを狙った売買もしていて、その両方を合計した数字です。

問題は、レバレッジをかけた為替でコツコツ型を狙うと、受け取った分が値動きで一瞬で吹き飛ぶことでした。しかもスワップは、必ず受け取る側にいられるとは限りません。今回の手動口座では、スワップ益100円に対してスワップ損1,890円。受け取るどころか、払う側になっていました。

同じ「持っているだけで入ってくる」でも、レバレッジと為替変動が乗った瞬間に別物になる。ここが、いまの高配当株や家賃収入との決定的な違いだと考えています。

だから「やらない」に落ち着きました

以上が、FXについて基準を作るのではなく「やらない」と決めた理由です。正確に言えば、先に撤退基準を置いて検証した結果、結果が出なかったので退いたということです。やらないという結論は感情ではなく、約16万円と1年をかけた検証の結果として残っています。

6. まとめ|失敗から作った「やめる基準」3つの条件

やめる基準は「いくらまで」だけでは足りません。「いつまで」と「何を確かめるのか」を足しておくと、どれかが効いてくれます。

要点を整理します。

  • 損益証明書のある1年分の確定損益は▲94,103円勝率54%・通常決済は+33,116円だったが、ロスカット1回▲52,529円で年間マイナスに転落した
  • 並行して手動で動かした口座は売買益17,900円に対し売買損90,800円自動売買▲19,413円に対し、手動は▲74,690円と4倍近く負けた
  • 期間の基準(1年をめどに判断する)は守れたが、金額の基準(10万円まで)は6万円ほど超えた。最終的に▲159,989円
  • 口座が2つに分かれていると、金額の枠を超えたことに気づきにくい。期間なら誰が見ても分かる
  • そもそも金額の枠が縛るのは口座に入れるお金だけ。10万円と決めていた私は、1万通貨=150万円超のポジションを動かしていた。ロット設定は自分でできたのに、そこを詰めていなかった
  • 20代の失敗と比べると損失は19分の1基準は損を防がない。損の大きさと期間を決めてくれる

そのうえで、いま私が新しいものを試すときに置いている条件は、この3つです。

1. 金額の上限:これ以上は入れない、という額を先に決める

2. 期間の上限:いつまでに判断するか、を先に決める

3. 検証の内容:何が確かめられれば成功で、何が確かめられなければ撤退か

3つ目がいちばん抜けやすく、いちばん効きます。「儲かったら続ける」だと、含み損を抱えた瞬間に判断が止まります。「自動売買が機能するかを確かめる」という目的にしておけば、機能しなかったという結論もまた成果になります。20代の私に足りなかったのは、この考え方でした。

そして、私自身がそうだったように、基準を決めても、全部は守れません。それでも構わないと思っています。3つのうち1つでも機能すれば、そこで止まれるからです。私の場合は期間の基準が効きました。

いま含み損を抱えて動けずにいる方に、私の経験からお伝えできることがあるとすれば、基準を1つしか持っていないなら、もう1つ足してみてはどうでしょうか、ということです。私の場合、それが期間でした。金額だけを見ていると、超えたかどうかが分からないまま続いてしまいます。カレンダーは、いつでもはっきり答えを出してくれました。

私自身、FXでは2回失敗しました。それでも投資そのものはやめていません。兄弟で住居費を折半していることで生まれた余力を、いまは高配当株と不動産に振り分け、並行して不動産ローンの繰上返済も進めています。向いていないものが1つはっきり分かったこと自体は、約16万円と1年に見合う収穫だったと思っています。

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。


※本記事の損益は、各社が発行した損益証明書・金融商品取引年間報告書・取引報告書と、当時から自分で付けていた月次の損益管理表に基づく実額です(2026年8月30日に原本を再確認)。取引回数と勝敗の内訳は、取引報告書の決済59件を全件集計したものです。金額はいずれも税引前で記載しています。投資判断はご自身の責任でお願いします。

40歳の不安から始めた不動産投資。中古ワンルーム2戸を選んだ理由

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA