株主優待といえば「とりあえず100株」。ですが私は、優待株を買うときには必ず区分ごとの効率を計算して、株数を決めています。手持ちの優待銘柄から2つ取り上げて計算すると、答えが分かれました。
先に結論です。
① 効率が一番高いのは「区分の下限ちょうど」
同じ区分の中では、何株買っても優待額は変わりません。だから、その区分の一番下で止めるのが一番得になります。
② ただし、その下限が何株かは銘柄によって違う
例に取り上げたCasa(7196)は100株、日本フエルト(3512)は300株が頂点でした。「とりあえず100株」で正解の銘柄と、そうでない銘柄があります。
③ 計算は「優待額 ÷ 株数」の割り算ひとつだけ
優待表さえあれば、どなたでもご自身の銘柄で確認できます。
「とりあえず100株」が正解かどうかは、銘柄ごとに計算しないと分かりません。
※本記事の優待内容は2026年9月18〜19日に各社の公式IR等で確認したものです。優待制度は変更・廃止されることがあるため、実際の判断の際は必ず最新の情報をご確認ください。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
1. 株主優待は何株買うのが一番効率がいい?
株主優待は、保有株数に応じて金額が階段状に上がる設計がほとんどです。たとえば「100株以上で1,000円、500株以上で2,000円」という形です。
ここで見落としやすいのが、同じ区分の中では、何株買っても優待額が変わらないという点です。100株でも499株でも優待は1,000円。だとすれば、その区分の一番下、つまり100株で止めるのが一番効率がいいことになります。
そして次の区分に上がる瞬間、また効率が跳ね上がります。ですから効率の頂点は、各区分の下限に並んでいるわけです。あとは、そのうちどれが一番高いかを計算するだけです。
手持ちの優待銘柄から2つを例に計算したところ、Casaは100株、日本フエルトは300株が頂点でした。「とりあえず100株」で正解の銘柄もあれば、そうでない銘柄もあるということです。
2. なぜ「とりあえず100株」が正解とは限らない?

比例していれば、何株買っても1株あたりの優待額は同じになり、悩む必要はありません。ところが実際の優待表は、区分ごとに上がり幅がばらばらです。
日本フエルトを例にします。公式IRに掲載されている優待内容は次のとおりです。
| 保有株式数 | 継続保有期間 | 優待内容 |
|---|---|---|
| 100株以上300株未満 | 1年以上3年未満 | 300円相当のクオカード |
| 100株以上300株未満 | 3年以上 | 600円相当のクオカード |
| 300株以上1,000株未満 | 1年以上3年未満 | 1,000円相当のクオカード |
| 300株以上1,000株未満 | 3年以上 | 2,000円相当のクオカード |
| 1,000株以上 | — | 2,000円相当のクオカード |
株数が3倍(100株→300株)になると、優待額は3.3倍(300円→1,000円)になります。比例していません。ところが株数が10倍(100株→1,000株)でも、優待額は6.7倍(300円→2,000円)にしかならない。上に行くほど伸びが鈍っています。
もうひとつ、100株の300円相当という金額そのものが使いにくいという事情もありました。QUOカードはおつりが出ないので、300円だと何を買えば端数を残さずに済むかで手が止まります。この点はQUOカードの使い道は?コンビニで損しない物だけ買う方法に詳しく書きました。
効率も使い勝手も、100株が最善とは限らない。だから私は、買う前に区分ごとの効率を計算します。
ただし、効率が一番いい株数を必ず選ぶわけではありません。区分の下限が300株や500株で、しかも株価が高い銘柄だと、そこに届かせるための投資額が大きくなりすぎるからです。効率は計算したうえで、その金額を1銘柄に投じてよいかは別に判断します。この点は第6章と第7章で書きます。
3. 1株あたりの優待額はどう計算する?

電卓でも暗算でもできます。区分ごとに計算して、一番大きい数字が出た株数が、その銘柄の効率の頂点です。
日本フエルト(3512)の場合
| 保有株式数 | 優待額(1年以上3年未満) | 1株あたり | 優待額(3年以上) | 1株あたり |
|---|---|---|---|---|
| 100株 | 300円 | 3.0円 | 600円 | 6.0円 |
| 300株 | 1,000円 | 約3.3円 | 2,000円 | 約6.7円 |
| 1,000株 | 2,000円 | 2.0円 | 2,000円 | 2.0円 |
保有期間にかかわらず、300株が頂点でした。しかも3年以上持てば1株あたりが倍になります。継続保有条件がある銘柄は、株数だけでなく「持ち続けること」自体が効率を上げるわけです。
Casa(7196)の場合
| 保有株式数 | 優待額 | 1株あたり |
|---|---|---|
| 100株 | 1,000円 | 10.0円 |
| 500株 | 2,000円 | 4.0円 |
| 1,000株 | 3,000円 | 3.0円 |
こちらは100株が頂点で、あとは下がる一方です。500株にしても1,000株にしても、1株あたりの優待額は増えません。この銘柄については「とりあえず100株」が正解ということになります。
なお、Casaの優待内容は同社の公式サイトでは記載を見つけられませんでした。上の表は、証券会社などが掲載している情報(大和インベスター・リレーションズ提供)で確認したものです。優待内容は変更されることがあるので、実際に判断する際は最新の情報をご確認ください。
同じ計算をしても、日本フエルトは300株、Casaは100株と答えが分かれました。優待表を見ずに株数を決めることはできない、というのがここでの結論です。
4. 区分の途中で買い増すとどうなる?
ここが一番の落とし穴だと思っています。日本フエルトで、区分の途中の株数を並べてみます。
| 保有株式数 | 優待額(1年以上3年未満) | 1株あたり |
|---|---|---|
| 300株 | 1,000円 | 約3.3円 |
| 500株 | 1,000円 | 2.0円 |
| 999株 | 1,000円 | 約1.0円 |
| 1,000株 | 2,000円 | 2.0円 |
300株から999株まで、いくら買い足しても優待額は1,000円のままです。1株あたりの効率は3分の1以下まで落ちます。そして1,000株に届いてようやく2,000円になりますが、それでも300株のときの約3.3円には届きません。
つまり、「もう少し買い足そう」が一番効率を落とす行動になります。買い増すなら次の区分の下限まで一気に届かせる。届かないなら買い増さない。優待の効率だけで考えるなら、この二択です。
もちろん現実には、優待以外の理由で買い増すこともあります。それは次の章と、その次の章で書きます。
5. 1株あたりの優待額だけで銘柄を比べていい?

ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。私がいま銘柄を選ぶときの目安は、配当利回りと優待利回りを合算した「総合利回り4%超え」です。これは投資額あたりで見る数字で、1株あたりの優待額とはまったく別物です。
上の計算だと、Casaの100株は1株あたり10.0円、日本フエルトの300株は約3.3円です。数字だけ見ると、Casaのほうが3倍効率がいいように見えます。しかし、これは比較になっていません。
理由は単純で、株価が違うからです。1株あたりの優待額は分子(優待額)を株数で割っただけで、いくら払ったかが入っていません。株価が3倍違えば、この差はそのまま消えます。
経理の仕事をしていると、分母を揃えないと比較にならないのは日常的に出てくる話です。売上高だけ見ても会社の優劣が分からないのと同じで、優待も投じた金額あたりでいくら戻るかを見ないと、銘柄同士は比べられません。
銘柄をまたいで比べたいなら、使うのは利回りです。
優待利回り = 優待額 ÷ 投資額(株価 × 株数)
総合利回り = 配当利回り + 優待利回り
ただし株価は日々変わるので、この記事では具体的な利回りの数字は書きません。今日計算した数字が来月には違っているからです。ご自身の買値、あるいは検討時点の株価で計算してください。
1株あたりの優待額は「同じ銘柄の中で何株にするか」を決める道具。総合利回りは「そもそもその銘柄を買うか」を決める道具。役割が違うので、混ぜないほうが安全です。私は先に総合利回りで買うかどうかを決め、買うと決めた銘柄について区分の効率を計算しています。順番が逆になると、利回りの低い銘柄を効率よく買うことになってしまいます。
6. 優待株の買い方は、以前と今でどう変わった?
私が個別株を買うときの目安は、配当利回りと優待利回りを合算した「総合利回り4%超え」です。この数字自体は、個別株を始めたころから変えていません。
変わったのは、4%の内訳でした。
以前は、内訳を問いませんでした。極端に言えば、配当利回り0%・優待利回り4%でも買っていました。個別株投資は優待株から始めたので、優待そのものが目的だったからです。
現在は、配当利回りが主です。まず配当利回りが比率として大きいこと。そのうえで優待がおまけで付いて、合計が4%を超えるなら検討する。優待だけで4%に届いている銘柄は、今は買いません。
| 以前 | 現在 | |
|---|---|---|
| 総合利回りの基準 | 4%超え | 4%超え(変えていない) |
| 4%の内訳 | 問わない(優待だけで4%でも可) | 配当利回りが主、優待はおまけ |
| ほかに見るもの | — | セクターの比率でバランスをとる |
なぜ内訳を変えたかというと、同じ4%でも、優待と配当とでは減らされにくさが違うと考えているからです。
誤解のないように書いておきます。配当も減ります。減配も無配もありますし、私自身、業績が悪化して無配になった銘柄を持っていたことがあります。「配当なら安全」という話ではありません。
それでも配当を主に置くのは、会社が配当について方針を公表していることが多いからです。たとえば日本フエルトの公式IRには、配当方針として「配当性向を加味しDOE2.5%を目標として」と、数値目標まで書かれています(DOEは株主資本に対する配当の割合のことです)。減配はこの方針の撤回になるので、経営としては重い判断になります。
一方、同じページの株主優待の欄に、方針や目標の記載はありません。優待の内容は、方針を示さないまま変更も廃止もできるわけです。実際に私は、結局使わなかった優待や、途中で割引券に変わって持ち出しが増えた優待で失敗しました。「優待があるから」が売却をためらう理由になってしまっていたのが、いま振り返ると一番の問題でした。その経緯は40歳で初めて株を買った話|桐谷さんに憧れて・失敗して、自分の基準ができるまでに、銘柄名も含めて書きました。
どちらが絶対に安全か、という話ではありません。約束の重さが違う、という程度の差です。それでも、4%の中身をどちらに寄せるかを決めるには十分でした。
この記事で書いた株数の計算も、この順番の一番最後に来ます。配当利回りを主に総合利回り4%を確かめ、セクターのバランスも見て、はじめて「では何株にするか」という話になる。計算が先に来ることはありません。
7. それでも優待のために買い増さないのはなぜ?

日本フエルトなら、1,000株まで買えば優待額は2,000円になります。300株のときの倍です。ですが投じる資金は3倍以上になり、1株あたりの効率は約3.3円から2.0円に落ちます。優待のためだけに資金を3倍投じる理由が見つかりません。買い増すとしたら、高配当株としての基準に合致したときだけです。その考え方はビックカメラとコジマの優待券は何に使う?にも書きました。
もうひとつ、株数を決めるときの現実的な制約もあります。効率が一番いい区分に届かせるための投資額が大きすぎる場合は、そこを狙いません。たとえば区分の下限が300株で株価が高い銘柄なら、1銘柄に投じる金額としては重すぎることがあります。効率は計算したうえで、金額として引き受けられるかは別に判断するということです。
ここでも、優待と配当とでは金額の刻み方が違います。私が使っている楽天証券の「かぶミニ」の公式ページには、「ほとんどの優待実施企業が100株(1単元)以上の保有に対し、優待を実施」とあります。つまり優待は、100株の塊でしか取りにいけません。
私が配当を主に置くようになった理由のひとつが、この調整のしやすさでした。優待を軸にすると、どうしても100株単位の塊でしかポートフォリオを組めません。
一方、配当は1株からでも保有株数に応じて受け取れます。同じページに「1株から配当金を受け取ることができます」と明記されています。投じる金額を自由に刻めるので、セクターの比率を整えるのにも向いています。
私が配当を主に置くようになった理由のひとつが、この調整のしやすさでした。優待を軸にすると、どうしても100株単位の塊でしかポートフォリオを組めません。

ただし、単元未満株にも条件があります。単元株数に満たない保有には議決権がありません。またリアルタイムで売買できる銘柄は限られていて、公式ページによると対象は730銘柄(2024年6月6日現在)。それ以外は前場の寄付での約定になります。リアルタイム取引には東証の参考価格に0.22%のスプレッドが加減算されます(寄付取引ならスプレッドはなく、売買手数料はどちらも無料)。細かく刻めるかわりに、売買の条件には差があると考えておいてください。
買い増さない理由は、前章で書いた「優待は方針を示さないまま変えられる」ことに加えて、もうひとつあります。株価の下落は、優待額を簡単に上回ることです。1,000円の優待を得るために買った株が1万円下がれば、差し引きは大きくマイナスになります。優待のために投じる資金を増やすほど、この振れ幅も大きくなります。
優待の効率を計算することと、優待を目的に投資することは別です。前者は、どのみち買うと決めた銘柄の株数を詰めるための作業にすぎません。
なお、ここまではすべて私自身の判断です。私は投資助言をする立場にありませんので、銘柄選びも株数も、最終判断はご自身でお決めください。
8. まとめ:優待の株数はこう決める
手順は次のとおりです。
- 1. まず総合利回り(配当利回り+優待利回り)で、その銘柄を買うかどうかを決める。私は4%超えが目安で、配当利回りが主であることとセクターの比率もあわせて見ています
- 2. 買うと決めたら、優待表を区分ごとに書き出す。保有期間の条件があれば、それも分けて書く
- 3. 区分ごとに「優待額 ÷ 株数」を計算する。使うのは各区分の下限の株数
- 4. 一番大きい数字が出た株数が、その銘柄の効率の頂点。それが100株とは限らない
- 5. その株数に届かせる投資額を引き受けられるか確かめる。効率がよくても、1銘柄に投じる額として重すぎるなら見送る
- 6. 区分の途中では買い足さない。次の区分の下限に届かないなら、効率が落ちるだけ
- 7. 1株あたりの優待額で銘柄同士を比べない。株価が入っていないので、比較になっていない
- 8. 買ったあとは、優待のために買い増さない。優待は方針を示さないまま変えられるうえ、株価の下落は優待額を簡単に上回る
この記事で例にした2銘柄では、計算の結果としてCasaは100株、日本フエルトは300株という形に落ち着いています。届いたQUOカードをどう使っているかは、QUOカードの使い道は?コンビニで損しない物だけ買う方法に書きました。もらう株数を決めることと、もらったあと使い切ることは、続きの話だと思っています。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
よくある質問
優待は100株から取れるのに、なぜ300株買うのですか?
銘柄によっては、100株より300株のほうが1株あたりの優待額が高くなるからです。日本フエルトの場合、100株は300円相当(1株あたり3.0円)、300株は1,000円相当(同 約3.3円)でした。逆にCasaは100株が頂点で、買い増すほど効率が落ちます。どちらになるかは優待表を計算しないと分かりません。
1株あたりの優待額が高いほどお得ですか?
同じ銘柄の中ではそう言えますが、銘柄をまたいだ比較には使えません。株価が違うと、投じた金額あたりの戻りが変わるからです。銘柄同士を比べるなら、投資額あたりで見る総合利回り(配当利回り+優待利回り)を使ってください。私は4%超えを目安にしています。
配当だって減配されますよね?
そのとおりです。減配も無配もありますし、私自身、無配になった銘柄を持っていたことがあります。「配当なら安全」とは考えていません。ただ、配当は配当性向やDOEといった方針を公表している会社が多く、減配はその方針の撤回になります。優待には、そうした方針が示されていないことがほとんどです。絶対の安全ではなく、約束の重さの差だと考えています。
継続保有の条件があると効率は変わりますか?
変わります。日本フエルトの300株は、1年以上3年未満だと1,000円相当(1株あたり約3.3円)ですが、3年以上保有すると2,000円相当(同 約6.7円)になります。株数を増やさなくても、持ち続けるだけで1株あたりの優待額が倍になる設計です。
優待が廃止されたらどうなりますか?
優待はもらえなくなります。優待制度は企業の裁量で変更も廃止もできるので、優待を前提に投資判断をするのはリスクがあります。私が優待株を優待のために買い増さないのは、これが理由のひとつです。
出典(すべて2026年9月18〜19日確認)
- 日本フエルト株式会社 公式IR「株主還元」
- 株式会社Casa 公式IR「株式情報」「よくあるご質問」(優待の記載は確認できず)
- 株式会社Casa の優待内容:Yahoo!ファイナンス掲載(大和インベスター・リレーションズ提供、2026年9月12日更新)
- 楽天証券 公式「かぶミニ®(単元未満株取引)」
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